使い方のポイント
- 「1品ごと」では、売価・原価・月間の販売数と、値上げ後の売価を入れます。
- 「店全体」では、月商・変動費率・値上げ幅を入れます。
- グラフと数字で、客数がどれだけ減るまで値上げが得か(損益分岐の減少率)と、減った場合の利益の変化が分かります。
- 「原価が上がった時」では、売価を据え置いた場合の利益の減りと、利益を守るための売価が分かります。
値上げ後の客数の変化は予測が難しいので、複数のパターンで試してください。
値上げは、客数が少し減っても得なことが多い
値上げの不安は、「客が離れて、かえって損をするのでは」という点にあります。ここで大事なのは、売上ではなく利益(粗利)で比べることです。
たとえば売価900円・原価300円(粗利600円)のメニューを、1,000円(粗利700円)に上げるとします。1品あたりの粗利は約17%増えるので、客数が14%減るまでは、値上げした方が総額の粗利は増えます。分かれ目は次の式で出せます。
損益分岐の減少率 = 値上げ額 ÷ 値上げ後の1品あたり粗利
原価率が高い(粗利が小さい)メニューほど、少しの値上げで1品あたりの粗利が大きく増えるため、許容できる客数の減少幅も大きくなります。
店全体で見る時の考え方
店全体では、売上に比例して増減する費用(食材費など)の割合である変動費率が、分かれ目を決めます。変動費率35%の店が5%値上げする場合、客数が約7%減るまでは、利益が増えます。変動費率が高い店ほど、値上げの効き目は大きくなります。
この計算は、値上げしても客単価以外は変わらないという単純な前提です。実際には、客数の減り方は、競合店の価格、メニューの個性、常連客の割合などで変わります。値上げ後の数字を記録して、予測とのずれを次の判断に生かしてください。
原価が上がった時の3つの選択
| 選択 | 特徴 |
|---|---|
| 売価を据え置く | 1品あたりの粗利がそのまま減ります。客数は保てても、利益が削られます。 |
| 上がった原価の分だけ値上げする | 1品あたりの粗利(円)を守れます。原価率は少し上がります。 |
| 原価率を保つように値上げする | 粗利の割合を守れます。値上げ幅は大きくなります。 |
どれが正しいかは店次第です。このツールでは、それぞれの売価を並べて見られます。
値上げの伝え方の工夫
数字で得になると分かっても、お客様の反応は気になるものです。一律に上げず、原価の上がった品に絞る、量や付け合わせを見直して価値を足す、セットメニューを用意する、といった工夫もあります。まず、レシピ原価管理ツールで、どの品が最も苦しいかを確認すると、絞り込みやすくなります。